Two Pain
私たちが感じる「痛み」には、大きく分けて二つの種類があります。一つは「きれいな痛み」、もう一つは「きたない痛み」です。この二つを区別することは、心の健康を保つうえでとても大切です。
きれいな痛みとは、人生のなかで実際に起きた出来事に対して、私たちが自然に感じる不快感やつらさのことです。たとえば、大切な人との別れ、仕事での失敗、夢が叶わなかったときの悲しみなどがそうです。もちろん気持ちの良いものではありませんが、それは「正常で自然な感情」であり、人として健全な反応です。
それに対して、きたない痛みは、そうしたきれいな痛みを感じたくない、避けたい、消したいと無理にコントロールしようとするなかで生まれる二次的な苦しみです。たとえば、「こんなことで落ち込んじゃだめだ」と自分を責めたり、気を紛らわせようと無理に明るくふるまったり、現実から逃げるようにスマホやお酒に依存してしまうようなとき、私たちはこの「きたない痛み」に巻き込まれています。
多くの人が、この「きたない痛み」の渦のなかでもがきながら、「もしできることなら、最初の“きれいな痛み”だけを感じていられる状態に戻りたい」と思います。しかし皮肉なことに、「痛みを感じたくない」というその願いこそが、もともときたない痛みへとつながった原因だったりするのです。
つまり、「痛みを避けたい」という気持ちが、新たな痛みを生み出してしまう。そうした悪循環から抜け出すためには、まず自分が感じている痛みが「きれいなもの」か「きたないもの」かを見分けること。そして、きれいな痛みに対しては、逃げずに、無理に消そうともせず、そのまま感じてあげること。それが、不要な苦しみを増やさずに生きていく第一歩になるのです。