Fix

Fix

「幸福」という言葉には皮肉な面があります。もともと「幸福」は「偶然起こること」を意味する言葉で、予期しない良いことや素晴らしい出来事、思いがけないチャンスに対する感謝を表していました。


皮肉だというのは、人々が幸福を求めるだけでは満足せず、それを手放さないようにしがみつこうとするからです。そして不幸なことを何としても避けようと必死になり、かえって苦しい状況に陥ってしまうのです。



困ったことに、幸福をコントロールしようとする努力は非常に疲れるものです。さらに、そうした努力は決まった型にはまった、柔軟性のない、頑なで融通の利かないものになってしまいがちなのです。​​​​​​​​​​​​​​​​



幸福とは単に気持ち良くなることではありません。もしそうであれば、地球上で最も幸福なのは麻薬常用者ということになってしまいます。実際には、気持ち良さだけを追い求めることは、ひどく不幸なことなのです。


麻薬常用者が「気持ち良くなるための方法」、つまり麻薬を打つことを「くっつける(fix)」と表現するのは偶然ではありません。彼らは薬物によって何かをあるべき場所に固定しようとしているのです。しかし、幸福というものは軽く触れる程度に扱わないと、すぐに死んでしまいます。ちょうど机にピンで留められた蝶のように。


これは麻薬常用者だけの話ではありません。幸福という感情を必死になって絞り出そうとしている私たちは、実は幸福とは正反対の行動をとっています。その当然の結果として、ひどい嫌悪感と無力感を味わうことになります。しかし真実を知るまで、私たちは幸福を固定しようと努力し続けるのです。​​​​​​​​​​​​​​​​


つまり、幸福を無理につかまえようとすればするほど、それは逃げていってしまうということです。​​​​​​​​​​​​​​​​